たとえば深夜、街が寝静まっている時に一匹の猫の子が鳴いたとしましょう。これが妙に心に響くのです。昼間、喧噪の中で重大な事件があったとしても、人にはその声の方が一日の印象として残るものなのです。
仕事でも同じことでしてね、会議が行き詰まって誰も発言が出なくなった時に、意見を吐く人がいたとしましょう。そういう意見は大体が下らん意見だったり、誰かの意見の受け売りだったりするわけですが、人々の印象にはその人の意見が残るのです。いや、その人が残るのです。結局そういう人が勝ち組なっていくんですね。
組織は目立って何ぼのもんだから、例えその人が馬鹿であっても、印象に残ったその人は、いい方向に向かっていくものなのです。
同じく目立って何ぼでやってきた上司から、
「おっ、おれの若い頃に似ている」と思ってかわいがられる。
そしてその上司が、例の印象術を利用して、
「あいつが適任です」と、その人を引き上げるのです。
そうやって出世した要領のいい人が、何人かいました。そうやって出世したものだから、あまりいい印象は残ってないんですけどね。