頑張る40代!

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

2005年11月

嫁ブー、はまる

一昨日の夜中のことだった。
日記が書き終わり居間に行ってみると、聞き飽きた歌が流れてきた。
「おまえ、またこれ見よるんか?」
「会社の人にDVD借りてきたんよ」
「去年、完全版も見たし、もういいやろうが」
「それが、何回見ても飽きんのよね」
「おれは、このドラマを見ているおまえのアホ面を見飽きたわい」
「そんなん言わんでいいやん」
「もういい、ごゆっくり見て下さい。私ゃもう寝ますんで」

聞き飽きた歌とは『マイメモリー』で、このドラマとは『冬のソナタ』である。
嫁ブーは、まだ韓流にはまっているのだ。
家には、『美しき日々』のDVDがあるし、ぼくがタイトルを知らないドラマのやつもある。
それに加えて、今回の『冬のソナタ』である。
そこにぼくのライブラリーなんて一つもない。
つまり、うちのテレビの周りには韓流が充満しているのだ。

嫁ブーはいつも何かにはまっている。
以前はSMAPものだった。
彼らの出ているドラマはすべて見ていた。
その後が、韓流。
一昨日のことがあって、「嫁ブーは、今年も韓流で終わりそう」と思っていたのだが、何とそれだけではなかった。
また新たなものにはまってしまっているのだ。

昨日、床屋から帰った後に街に出た。
給料後の恒例になっている銀行周りに行ったのだ。
その帰り、本屋に立ち寄った。
『20世紀少年』の新刊が出ていたので、それをレジに持って行くと、横で嫁ブーが何か買っている。
何を買っているのだろうと見てみると、コミックが何十冊もあるのだ。
「おまえ、何買いよるんか?」
「花より男子」
「何冊あるんか?」
「全部で39冊」
「えーっ、全巻か?」
「うん」
「ドラマで充分やろうが」
「ドラマは、ダイジェストに過ぎんもん。だいたい10回やそこらで、38巻分の内容を全部出来るわけないやん」
「そうか」
「買ったらいけんと?」
「いや、おまえのお金やけ、別に何に遣おうとかまわんけど。ただ条件がある」
「えっ、条件?」
「おう」
「何ね?」
「おまえが読んだら、次はおれが読むけ、絶対に人に貸したらいけんぞ」
「そんなことね。いいよ」
ということで、ぼくは39冊買うことを承認した。

しかしたまげた女である。
ぼくもコミックのまとめ買いをよくやるのだが、10冊が限度だ。
一度に39冊も買ったことなんかない。
第一、書棚はぼくの本でいっぱいなのに、いったいどこに置くつもりなのだろうか。
そこでぼくは、「おまえ、それどこに置くんか?」と聞いてみた。
「テレビのところ」
「あそこ、おまえのDVDでいっぱいやないか」
「ああ、あれね。あれはもう見たけ、クローゼットの中にでも入れておく」
「命よりも大切な韓流やないか」
「大切やないよ。こっちのほうが大切やもん」
そう言って、嫁ブーは嬉しそうな顔をして、39冊のコミックを抱えて帰ったのだった。



久々の床屋

11月29日休み。
今日は午前中に床屋に行った。
前に行ったのは、確か2ヶ月ほど前だったと思う。
3週間ほど前から前髪が垂れてきて、鬱陶しかった。
その頃に行こうと思っていたのだが、仕事が入ったために行けなかった。
その後はご存知の通り、風邪である。
ということで、今日まで延び延びになっていたのだ。

まだ風邪の方は治ってないのだが、いちおう残っている症状は咳だけで、それを除けば健康体とほとんど変わらないところまで回復している。
朝起きて、いちおう体をチェック下のだが、特に悪いところはないようなので、床屋行きを決行することにした。
ただ、いったん咳き込み出すとひどいので、念のために咳止め薬を飲んでいった。
顔を剃っている時に咳き込みでもしたら大変だからだ。

行ったのは朝9時だった。
一番乗りだった。
ところが、床屋には誰もいなかった。
いつも店番をしている犬さえもいない。
ま、いつものことなので気にせずにそこにあった少年マガジンを読んでいた。

近くにいくつも床屋があるのに、なぜこういう待たされる床屋に固持するのかというと、それは『魁!!クロマティ高校』を読めるからである。
これがあるから、なかなか床屋をかえられないのだ。
もしかしたら、他の床屋にも少年マガジンは置いてあるかもしれない。
だが、それを調べるために、冷やかしに行ったりとか、電話で聞いたりとかいう面倒なことをぼくはしない。
そこにあるから、それで充分なのである。
姉さんが出てきたのは20分後だったから、その間充分に『魁!!クロマティ高校』を読むことが出来たのだった。

髪を切っている途中にも、電話が入ったり、集金人が来たりして、なかなか終わらなかった。
それもいつものことなので、ぼくは気にせずに眠っていた。
そういえば、眠っている時に「しんた」という声が聞こえた。
ぼくが声のほうを振り向くと、姉さんが「あっ」と言った。
ぼくが目を開けると姉さんは、「どうしたと? 痛かったと?」言った。
「えっ…。いや…」
そう言いながら、ぼくはあたりを見回した。
だが、その声の持ち主らしき人は見あたらなかった。
おそらく夢だったのだろう。
それか、目に見えない何者かがそういう声を聞かせて、事故を未然に防いでくれたのかもしれない。

ようやく終わったのは、11時前だった。
心配された咳き込みもなく、無事に散髪は終了した。
頭がスースーして寒かったが、長い時間鬱陶しかった前髪も垂れず、実に爽快な気分で家に戻ったのだった。



小太郎君

ぼくの店の熱帯魚コーナーに、『小太郎』という名の高校生のアルバイトがいる。
本名ではないが、見た感じ『小太郎』という名前がしっくりくるのだ。
ぼくがいつも「小太郎」と呼んでいるので、いつしかみんな「小太郎」と呼ぶようになった。
イトキョンにいたっては「小太郎ちゃん」と、「ちゃん」まで付けて呼んでいる。

最初の頃、彼は「小太郎」と呼ばれるのを嫌っていた。
「何でぼくが小太郎なんですか?」
「あんたが『小太郎』やけよ」
「本名違いますよ」
「そんなことはどうでもいいんよ。小太郎やけ小太郎と呼ぶんよ」
そう言って、ぼくは小太郎を押し切った。
そのうち、渋々彼は「小太郎」を受け入れるようになった。

しかし、やはり人前で「小太郎」と呼ばれるのは嫌だったようで、ぼくが散々人前で「小太郎」と連発して呼んだ後には、必ず近くにいる人に「ぼく、本当は小太郎じゃないんですよ」と自分でフォローしていた。
それでも気にせずに、ぼくは「小太郎」を連発した。
そのうち、小太郎は諦め、小太郎に抵抗しなくなった。
そう、晴れて小太郎になったのだ。

小太郎は大人しい子で、普段はあまり目立たない。
しかし、閉店近くになると、俄然張り切り出して、ぼくにいろいろ話しかけてくる。
話の内容は、お笑い関係のことが多い。
何でも、小太郎は中学生の頃まで、家族やクラスの人たちの笑いを取ることが得意だったらしく、今でも密かにお笑いの才能があると思っているようだ。

ぼくが「何かネタやってみ」と言うと、小太郎は「いや、ここではやれません」と言う。
「何で?」
「いろいろ準備がいるんですよ」
「小太郎は準備せな、笑いをとれんと?」
「いや、そうじゃないですけど、ぼくのネタはここじゃ受けないんですよ」
「じゃあ、どこやったらいいと?」
「うーん、教室とかがいいですね」
お笑いの才能があるなら、別に教室でなくてもいいはずである。
小太郎は、いったいどんなネタをやるつもりなんだろうか。
それはなかなか教えてくれない。

さて、今日のことだった。
いつものように閉店前に張り切りだした小太郎は、「しんたさん」とぼくを呼んだ。
「何だね、小太郎君」
「ちょっとぼくのお尻見て下さい」
「あ? おれ、そんな趣味ないよ」
「いや、お尻のところが破れてるんでしょ」
見てみると、なるほどお尻に穴が開いている。
「破れたんね?」
「いえ、最初から破れてるんです」
「不良品?」
「いや、わざと破ってあるんですよ」
「えっ、今は、尻の破れたズボンとかが流行っとるんね?」
「はい」

しかし小太郎は、その破れ具合が気に入らないようで、しきりにその破れを隠そうとしていた。
ぼくが「気になるなら、縫ったらいいやん」と言うと、小太郎は「そう思ってるんですけど、普通に縫ったらおかしくなりますからね」と言う。
「じゃあ、慣れた人に縫ってもらおう。ちょうどいい人がおる。ちょっと待って」
そう言ってぼくは、イトキョンのところに行った。

「イトキョン、小太郎がね…」
「小太郎ちゃんがどうしたと?」
「さっき水槽を掃除していたら、ピラニアにお尻を噛みつかれたらしいんよ」
「えっ、ピラニアに? それでケガはなかったと?」
「うん、ケガはなかったんやけど、ズボンのお尻が破れてしまってね。あんた縫ってやって」
「え、わたしが縫うと?」
「うん。あんたしかおらんやん」
「わたし縫いきらんよう」

そんなやりとりをしているところに、小太郎が「しんたさん、いいですよ。自分で縫いますから」と言ってきた。
「お、ちょうどいいところにきた。小太郎、お姉さんにお尻を見せてあげなさい」
「えーっ」
「何を恥ずかしがっとるんね」
「嫌ですよう」
そう言って、小太郎は元いた場所に走って戻っていった。
ぼくは「逃げるな、この根性なしが!」と言いながら、小太郎を追いかけていった。

イトキョンは、薄笑いを浮かべて、しばらくこちらを見ていた。
だが、夕飯のことで頭がいっぱいだったのだろう。
シャッターが閉まると、さっさと帰っていった。



「事件、事件」

昨日のことと関連した話である。
書類を書き上げたあと、警察官が「コピーを取りたい」と言ったので、ぼくは「コピー機は店内ですよ」と言って、案内した。
警察官にコピーを取っている間、暇になったぼくは、「何か面白いことはないかなあ?」と周りを見渡した。
するとそこに、格好の暇つぶしがいた。
イトキョンである。

『これはチャンスだ!』と思ったぼくは、血相を変えた顔を作ってイトキョンのもとへ走って行った。
「イトキョン、イトキョン」
「あ、しんちゃん、血相変えてどうしたんね?」
ぼくはコピー機の方を指さして言った。
「ほら、あそこに警察がおるやろ」
「あ、ホント。何かあったと?」
「事件、事件」
「何、何?」
「さっきカードを使った詐欺事件があったんよね」
「えっ、どこであったと?」
「ここに決まっとるやろ」
「えー、全然知らんかった」
「そうやろうね。あんたが来る前のことやけ」
「そう」
「今、あの警察官ね、指紋を採りよるんよ」
「へえ、犯人はコピー機を使ったと?」
「うん」
「でね、さっきおれも指紋採られたっちゃ」
「ほんと!?」
「うん。サービスカウンターのTさんも、あとKさんも採られたみたいよ」
「でも、しんちゃんの指、汚れてないやん」
「今はね、汚れが付かんインクを使うんよ」
「へえ、進歩したんやね」

イトキョンは興味を持ったのか、警察官をずっと見ていた。
「ねえ、しんちゃん。何であの警察官一人しかおらんと?」
「鑑識の人やけよ」
「ああ、そうか。で、犯人はどうなったと?」
「逃げた」
「ふーん。そういえば、さっきカード詐欺って言ってたけど、そのカードはどうなったんね?」
「ああ、カードは犯人が逃げる時に落として行ったんよ。今そのカードはあの警察官が持っとるよ」

警察官が帰ったあとも、イトキョンはそのことが気になっていたようだ。
そんな時に「しんたさん、外線です」という連絡が入った。
ぼくはイトキョンに、「犯人が捕まったのかもしれん」と言って、受話器をとった。
さっきの警察官からだった。
持って帰ったはずのカードがない、という電話だった。

電話を切ると、ぼくはイトキョンの方を向いて、「大変なことになった」と言い、さきほどの書類を書いた部屋に走って行った。
カードは無事に見つかり、その警察官に「ありましたよ」と連絡した。
再びやってきた警察官にカードを渡し、一件落着したあと、ぼくはイトキョンのところに戻っていった。

ぼくの『大変なことになった』という言葉を気にしていたイトキョンは、ぼくが戻ってくると、目を輝かせて「何かあったんね?」と言った。
「いや、また新たな犯行があってね」
「えーっ」
「またカードが落ちてたらしいんよ」
「うわー、何かミステリー事件みたいやね」
というところで、閉店になった。

帰りしなに、ぼくはイトキョンに「もしかしたら、明日の新聞に載るかもしれんよ」と言った。
ところがイトキョンは、先ほどとは違うモードに入っていた。
ぼくの言うことが聞こえたのか聞こえなかったのか知らないが、無視してそそくさと帰っていったのだ。
きっとイトキョンの頭の中には、事件のことなんか入ってなかったに違いない。
夕飯のことで、頭の中はいっぱいなのだから。



かわいそうなカード

夕方のことだった。
サービスカウンターのパートさんがぼくを呼んだ。
「どうしたと?」
「キャッシュカードを拾ったんだけど…」
「ふーん、じゃあ銀行に連絡したらいいやん」
「しんちゃんがして下さい」
「何でおれがせないけんとね。そのくらい自分でやって下さい。子供じゃあるまいし」
「でも、わたし慣れてないけ」
「慣れとかの問題やないやろ。ちゃんと拾った人が連絡せな」
「わたしが拾ったんじゃないもん。お客さんやもん」
という押し問答の末、結局ぼくが電話することになった。

落とし物はケースに入っており、その中にはキャッシュカードが2枚入っていた。
1枚は信用金庫のカードで、もう1枚は郵便局のカードだった。
ここでぼくは、どちらに電話しようかと悩んだ。
そこでパートさんに、「どちらに電話しようか?」と聞いた。
するとパートさんは、「郵便局はやめた方がいいよ」と言った。
「何で?」
「郵便局は忙しいけ、来てくれんっちゃ」
「でも、前は来てくれたよ」
「前はどうか知らんけど、今は来てくれんよ。人が足りんのやけ」
そういえば、そのパートさんのご主人は郵便局に勤めているので、郵便局の内情をよく知っている。
それならということで、信用金庫の方に電話することにした。

「北九州の○店です。実はおたくのキャッシュカードを拾ったんですが…」
「ああ、そうですか。お宅様には、うちのキャッシュサービスがあるんですかねえ?」
「ああ、拾得物入れでしょ。あいにくこちらには、F銀のしかないんですよ」
「そうですか。それでは、こちらからお客様に連絡して、そちらに取りに行ってもらいます」
「お願いします」

それから30分ほど経って、先ほどの信金の人から電話が入った。
「お客様、いないんですよねえ」
「そうですか」
「それでですねえ、お手数ですが、そちらから交番に持って行ってもらえませんか?」
「えっ、交番にですか?」
「はい」
「‥‥」

交番に行け、これまた面倒臭い申し出である。
交番に行くと手続きに時間がかかるから嫌なのだ。
そういうことなら、郵便局の方に電話すればよかった。
忙しくても、カードを引き取りには来てくれるだろう。

そこで、そのことを信金の人に言おうとした時だった。
先方が、「そこから一番近い交番はどこですか?」と聞いてきた。
「××交番ですけど」
「××交番ですね。わかりました。お客さんと連絡が取れたら、その交番に行ってもらうようにしますから」
「‥‥。そうですか。はい、わかりました」
ぼくは渋々受話器を置いた。
これで、郵便局に電話できなくなった。

ぼくはサービスカウンターに行き、カードを拾ったパートさんに、「交番に届けることになった」と言った。
「そう、やっぱりね」
「あんたが行ってきてね」
「えっ?」
「おれはちゃんと銀行に連絡したんやけ、今度はあんたの番やろ」
「何で私が行かないけんと?」
「あんたが拾ったんやろ?」
「私じゃないよう。お客さんが拾ったんよ」
「同じことやん。ちゃんと行ってきてよ」
「えー、行ってくれんと?」
「おれが行くとしたら、確実に9時近くになる。もしその間に落とし主が交番に行ったらどうするんね?」
「ああ、そうか」
「ちゃんと行ってきてよ」
「でも…」
「それが嫌なら、警察に電話して取りに来てもらい」
「あ、その手があったねえ」
「自分でかけてね」
「わかった…」
ということで、パートさんは警察に電話をかけた。

それから30分ほどして警察官がやってきた。
書類に必要事項を書き込んで、警察官は帰っていった。
『時間食ったけど、これでようやく一件落着した』
と思っていた時だった。
店内放送で「しんたさん、外線が入ってます」という連絡が入った。
出てみると、先ほどの警察官からだった。
「あのー」
「どうしたんですか?」
「先ほどのカードですけど…」
「あ、落とし主が現れたんですか?」
「いや、そういうことじゃなくて…」
「どういうことですか?」
「交番に帰ってからカードを挟んでおいたノートを開いてみると、カードが入ってないんですよ」
「えっ? 落としたんですか」
「いや、落としたんじゃなくて…。忘れたんじゃないかと思いまして」
「ちょっと待ってください」

そう言って、ぼくは先ほど書類を書いたところに行ってみた。
しかし、カードはそこになかった。
『もしかして下に落ちてないか』と思い、その辺を探してみた。
すると出入口のドアのところに先ほどのカードの入ったケースが落ちているではないか。

「ああ、ありましたよ」
「やっぱり忘れてましたか?」
「いや」
「えっ?」
「落ちてました」
「どこにですか?」
「入口のところです」
「…そうですか。すぐに取りに行きます」

5分もかからないうちに警察官はやってきた。
これで、ようやく一件落着となった。
それにしても、持ち主に落とされ、警察官に落とされ、本当にかわいそうなカードである。



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