今年の3月18日の日記に、アルバイトとバトルをやっているということを書いた。
このアルバイト、名前をタマコという。
顔は天才バカボン似である。
いや、顔だけではなく、頭のほうもバカボン似である。
昨日の開店前、履き物コーナーのパートさんと話していたら、たまたまそこに置いてあった下駄の話題になった。
ぼくが「最近の若い人は、鼻緒という言葉を知っとるんですかねえ」と聞くと、パートさんは「そのくらい知っとうでしょう」と言う。
「じゃあ、聞いてみましょう」ということになり、ぼくは下駄を持ってタマコのいる売場に行った。
タマコを見つけると、さっそく「おい、これ何ち言うか知っとうか?」と、下駄の鼻緒を指さして聞いてみた。
タマコは「知ってますよぉ、そのくらい。バカにしないで下さい」と、息の抜けるような声で言った。
「そうか、知っとるんか。言うてみ」
「それはですねぇ。タビです」
「は?」
「タビです。タビ」
「おまえんとこは、これを『タビ』ち言うんか?」
「はい」
それを聞いて唖然としたぼくは、タマ子の横にいたパートのラーさん(久々の登場だ。詳しくは日記内検索で)と顔を見合わせた。
そして、ラーさんは笑い出した。
ぼくは笑いをかみ殺して、履き物コーナーに戻り、さっそくパートさんに報告した。
「ダメダメ。全然知らんですよ」
「知らんって、何と答えたと?」
「タビですよ、タビ」
「足袋ぃ?」
パートさんは、一瞬息を止めて、そして吹き出した。
「誰が言うたん?」
「タマコです。タ・マ・コ」
再びタマコのいる売場に行き、タマコに「おい、わかったか?」と聞くと、横からラーさんが「しんちゃん、だめよ。この子『春よこい』も知らんとやけ」と言った。
「え?」
「童謡の『春よこい』にも、それが出てくるよと言ったら、この子、『はーるよこい、はーやくこい』までしか知らんとよ」
「じゃあ、『じょじょ』も知らんやろうの」
「知るわけないやん。『みいちゃんって何ですか?』とか聞いてたくらいやけ」
ぼくたちの会話を聞いていたタマコは「だから、みいちゃんって何なんですか?」と、またラーさんに聞いた。
ラー「『何』って、物じゃないんよ」
タマコ「じゃあ何なんですか?」
ラー「人の名前」
タマコ「ああ、人の名前かぁ」
ちょうど開店となったため、ぼくはいったん売場に戻った。
すると2,3分後、タマコが嬉しそうな顔をして、ぼくのところにやってきた。
「しんたさん、わかりましたよ。答は3文字で、一番上は『は』でしょ?」
「おう。自分で考えたんか?」
「当たり前じゃないですか」
と、その時、売場の電話が鳴った。
出てみると、ラーさんからだった。
ラーさんはぼくに「しんちゃん、一番下の文字を聞いてみてん」と言った。
そこで、タマコに「おい、一番下の文字を言うてみ」と言うと、タマコはさも自信ありげに「簡単ですよ。『み』でしょ」と言った。
「『み』?『み』ちゃ何か。全部言うてみ」
「は・さ・み」
「・・・。アホか、おまえは」
タマコは今21歳。幼稚園の先生を目指している。
いちおう今年短大を卒業したので、保母の資格は持っているらしいのだが、就職先がなく、しかたなく、学生時代からやっているうちのバイトを継続しているのだ。
しかし、幼稚園の先生になる人間が、こういう基本的なことを知らないと困る。
そう思ったぼくは、タマコを鍛えることを決意した。
このアルバイト、名前をタマコという。
顔は天才バカボン似である。
いや、顔だけではなく、頭のほうもバカボン似である。
昨日の開店前、履き物コーナーのパートさんと話していたら、たまたまそこに置いてあった下駄の話題になった。
ぼくが「最近の若い人は、鼻緒という言葉を知っとるんですかねえ」と聞くと、パートさんは「そのくらい知っとうでしょう」と言う。
「じゃあ、聞いてみましょう」ということになり、ぼくは下駄を持ってタマコのいる売場に行った。
タマコを見つけると、さっそく「おい、これ何ち言うか知っとうか?」と、下駄の鼻緒を指さして聞いてみた。
タマコは「知ってますよぉ、そのくらい。バカにしないで下さい」と、息の抜けるような声で言った。
「そうか、知っとるんか。言うてみ」
「それはですねぇ。タビです」
「は?」
「タビです。タビ」
「おまえんとこは、これを『タビ』ち言うんか?」
「はい」
それを聞いて唖然としたぼくは、タマ子の横にいたパートのラーさん(久々の登場だ。詳しくは日記内検索で)と顔を見合わせた。
そして、ラーさんは笑い出した。
ぼくは笑いをかみ殺して、履き物コーナーに戻り、さっそくパートさんに報告した。
「ダメダメ。全然知らんですよ」
「知らんって、何と答えたと?」
「タビですよ、タビ」
「足袋ぃ?」
パートさんは、一瞬息を止めて、そして吹き出した。
「誰が言うたん?」
「タマコです。タ・マ・コ」
再びタマコのいる売場に行き、タマコに「おい、わかったか?」と聞くと、横からラーさんが「しんちゃん、だめよ。この子『春よこい』も知らんとやけ」と言った。
「え?」
「童謡の『春よこい』にも、それが出てくるよと言ったら、この子、『はーるよこい、はーやくこい』までしか知らんとよ」
「じゃあ、『じょじょ』も知らんやろうの」
「知るわけないやん。『みいちゃんって何ですか?』とか聞いてたくらいやけ」
ぼくたちの会話を聞いていたタマコは「だから、みいちゃんって何なんですか?」と、またラーさんに聞いた。
ラー「『何』って、物じゃないんよ」
タマコ「じゃあ何なんですか?」
ラー「人の名前」
タマコ「ああ、人の名前かぁ」
ちょうど開店となったため、ぼくはいったん売場に戻った。
すると2,3分後、タマコが嬉しそうな顔をして、ぼくのところにやってきた。
「しんたさん、わかりましたよ。答は3文字で、一番上は『は』でしょ?」
「おう。自分で考えたんか?」
「当たり前じゃないですか」
と、その時、売場の電話が鳴った。
出てみると、ラーさんからだった。
ラーさんはぼくに「しんちゃん、一番下の文字を聞いてみてん」と言った。
そこで、タマコに「おい、一番下の文字を言うてみ」と言うと、タマコはさも自信ありげに「簡単ですよ。『み』でしょ」と言った。
「『み』?『み』ちゃ何か。全部言うてみ」
「は・さ・み」
「・・・。アホか、おまえは」
タマコは今21歳。幼稚園の先生を目指している。
いちおう今年短大を卒業したので、保母の資格は持っているらしいのだが、就職先がなく、しかたなく、学生時代からやっているうちのバイトを継続しているのだ。
しかし、幼稚園の先生になる人間が、こういう基本的なことを知らないと困る。
そう思ったぼくは、タマコを鍛えることを決意した。