頑張る40代!

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

2004年04月

好きな食べ物(ジャガイモ編)

小学生の頃まで、ジャガイモが大嫌いだった。
月に一度、給食でポテト状のジャガイモが出ていた。
塩と若干の青海苔を混ぜた程度のものだったのだが、それがジャガイモと合わなかったのか、変な味付けになっていた。
一度それを口にしたぼくは、あまりのまずさに二度とそれを食べようとは思わなかった。
そんなことがあり、ジャガイモ自体が嫌いになった。
それまでカレーは中に入っている野菜も残さずに全部平らげていたのに、それ以来ジャガイモだけは残すようになった。
ジャガイモ嫌いはその後ずっと続いた。

ところが、ある時からその嗜好が変わる。
それは、東京に出てからのことだった。
友人たちと居酒屋に行った時、誰かがジャガバターを注文した。
最初は『ゲッ、ジャガイモか』と思って無視していたが、友人があまりにおいしそうな顔をして食べているのを見て、「それおいしいんか?」と聞いてみた。
すると友人は「最高だぜ。ちょっと食べてみなよ」と言う。
「ジャガイモ好きじゃないけ」と、いったんは断った。
すると友人は「こんなにおいしいのに。騙されたと思って食べてみろよ」と言う。
そこでぼくは、そのジャガバターに箸を付け、恐る恐る口に運んだ。
一口目、あの給食を思い出して、鼻で息をすることをしなかった。
が、食べた後にバターのいい香りが鼻を包む。
二口目、今度は鼻で息をした。
サツマイモを食べているようだったが、甘みがないぶんバターの味が引き立ち、それがジャガイモの味と調和している。
思わず「おいしい」と口走った。
友人は「ほら、おいしいだろ」と言った。
「ジャガバターち、こんなにおいしかったんか」
「ジャガバターだけじゃない。ここは肉じゃがもおいしいよ」
「へえ、じゃあおれ、肉じゃが頼もう」
と、ぼくは肉じゃがを注文した。
これがまた絶品だった。

思うに、ぼくは元々ジャガイモが嫌いではなかったのだ。
たまたま味付けの悪い給食に出会っただけで、それが嫌いだったというだけの話だったわけだ。
その証拠に、それ以来ぼくはジャガイモの虜になったのだ。
飲みに行くと必ずジャガバターや肉じゃがを注文するし、マクドナルドやモスバーガーに行くと必ずフライドポテトを注文する。
毎日の弁当の中にも、必ずポテトを入れている。
今となっては、ジャガイモのない生活は考えられない。



嫌いな食べ物

【グリーンピース】
何が嫌いと言って、『ピースご飯』ほど嫌いなものはない。
味は当然のこと、あの臭いもだめである。
ぼくが子供の頃、母はよく『ピースご飯』を作っていたのだが、もちろんぼくは食べなかった。
それを食べなかっただけではない。
その臭いのせいで食欲も失せ、『ピースご飯』が出た時には、何も食べなかった。
そのうち、食欲が失せるだけでなく、『ピースご飯』の臭いを嗅いだだけで、吐き気も催すようになった。

その後母は、ぼくの前ではピースご飯を作らなくなった。
が、ぼくが出張した時などには作っていたようで、ぼくが結婚する前に「今日、しんたがおらんけね、『ピースご飯』を作ったんよ。食べにお出で」と言って、嫁さんを呼んだことがあるらしい。
今でも、ぼくが飲み会に行っている時などには、二人で『ピースご飯』パーティをやっているようだ。
「どうして、しんたは『ピースご飯』が好かんとかねえ」
「そうですよ。こんなにおいしいのに」
きっと、食卓では、こういう会話がなされているはずだ。

『ピースご飯』が大嫌いだと書いたが、では、グリーンピース単体はどうなのかというと、やはり嫌いなのである。
チャーハンやオムライスには、決まってグリーンピースが混じっているが、そのたびにぼくは、それを一つ一つ拾って、灰皿の中に入れている。
皿の中に除けておけばよさそうなものだが、同じ皿の中にグリーンピースがあること自体許せないのだ。

どうしてそんなにグリーンピースが嫌いなのかはわからない。
かつては食べたことがあるのだから、決して食わず嫌いというわけでもない。
充分に吟味して、大っ嫌いになったのだ。

【ピーナッツ】
ぼくには、もう一つ嫌いなものがある。
それはピーナッツだ。
ピーナツを食べるのも嫌なら、ピーナッツ風味の食べ物も嫌である。
酒のつまみに、柿の種を小皿に盛って出されることがある。
が、もしその中にピーナッツが入っていたら、ぼくは手を付けない。

そういえば、小学校の頃、時々給食にピーナッツバターが出ていた。
クラスのほとんどは「お、今日はピーナッツバターやん」と言って喜んでパンに塗っていたが、ぼくは何も塗らずに食べていた。
「しんた、ピーナッツバター塗らんのか?」
「おう、こんなの塗って食えるか」
「じゃあ、くれ」
ぼくはいつもそれを人にあげていた。

ピーナツが嫌いなら、アーモンドやマカデミアンナッツなども嫌いなのかというと、そうではない。
特にアーモンドは大好きで、酒の席にアーモンドが出たら、一人で全部食べてしまい、ひんしゅくを買っている。
「‥‥お前なあ、ナッツ類だめやったんやなかったか」
「ピーナッツがだめなだけ。その他のナッツは大好きなんよ」

では、なぜピーナッツがだめなのか。
実は、ぼくは小学校に上がるまで、ピーナッツが大好きだった。
ある日のこと、親戚のおばちゃんが買ってきた落花生を一袋、一人で平らげてしまった。
ところが、それからしばらくたって、鼻血が出てきた。
鼻血が出るのはいつものことだったが、おばちゃんがそれを見て「ほーら、あんたが落花生を全部食べるけ、鼻血が出るんよ」と言った。
それを聞いて以来、ぼくはピーナッツがだめになったのだった。



急患センター(後)

そうこうしているうちに、嫁さんの番が来た。
「お待たせしました。お入り下さい」
そこで医師は、通り一遍の診察をした後に言った。
「レントゲンを見る限り、骨には異常はないようですね」
整形外科医は、何かあると、すぐに骨折に結びつけたがるものである。
ところが、次の言葉に驚いた。
レントゲンで骨には異常がないと自分で言っているくせに、「では、『骨折の疑いがある』ということにしておきますので、整形外科に行って、その旨を話し、もう一度レントゲンを撮ってもらって下さい」と言ったのだ。
それを聞いて、ぼくは『こいつ自信がないのか』と思ったものだった。

医者が「どこか、かかりつけの整形外科はありますか?」と聞いた。
「いいえ」
かかりつけの整形外科があるほど、嫁さんは怪我をすることはない。
もちろんぼくにもない。
「いずれにしろ、明日整形外科に行って、レントゲンを撮ってもらって下さい。では、今日はギプスをしておきますので」
足をくじいたくらいでギプスはないだろう。
嫁さんが「ギプスをしないといけないんですか?」と聞くと、医者は「いちおう骨折の疑いがあるので、今日はこれで固定しておかないと。明日病院に行って、骨折でなければ外してけっこうです」

それを命じられた看護婦は、すぐにギプスを持ってきた。
ギプスをはめながら看護婦は言った。
「奥さんは松葉杖を突いたことありますか?」
「いいえ」
「ギプスをしていると不便でしょうから、松葉杖を3千円でお貸ししますので…。ああ、これは保証金です。松葉杖を返してもらったら、もちろんお金はお返ししますよ」

ギプスをし終わった後、看護婦は松葉杖を持ってきて、演技指導を始めた。
「こうやって、こうですね。じゃあ、やってみましょう」
嫁さんがやると、「ああ、お上手ですねえ。それでいいです。じゃあ、骨折の疑いが晴れるまで、これを使って下さい。いらなくなったら、持ってきて下さい。お金をお返ししますので」

その後手続きを終え、ぼくたちは急患センターを出た。
着いたのが9時前、出たのが11時だったので、およそ2時間急患センターにいたことになる。
帰りの車中、その2時間のことをいろいろ思い起こしていたのだが、その時、あることに気がついた。
それは、嫁さんは診察は受けたものの治療を受けてない、ということだった。
ギプスをして、松葉杖の指導を受けた以外、マッサージをするわけでも、湿布をするわけでもなかった。
あげくに「治療は整形外科で受けてくれ」と言う。
一体何のための急患センターなんだろうか。
あれでは、赤ん坊は泣きやまないし、じいさんの血圧は下がらないだろう。



急患センター(中)

さすがに、30万以上の人口を抱える区の急患センターだけあって、かなりの人が来ている。
特に多いのが赤ちゃん連れだった。
待合室、診察室、レントゲン室など、至る所から赤ちゃんの泣き声がする。

次に多いのが、老人だった。
ぼくたちが座っているところに、老人の夫婦連れがやって来た。
じいさんのほうが悪いようで、待合室に置いてある血圧計で、何度も血圧を測っていたのだが、そのたびに文句を言っていた。
「あっ、また上が5上がっとる。おれは、だいたい血圧が低いんやけ、5も上がったらフラフラするやないか。何ですぐに診察してくれんとか!」
フラフラするならジッとしていればいいのに、血圧を測るたびに立ち上がって、待合室の中を「診察はまだか!?」と文句を言いながら歩き回っている。
見かねた看護婦が「今、一人診てますから、もう少しお待ち下さい。それが終わってから診察しますので。ね、そこに座って」となだめた。
じいさんは、その言葉で大人しくなった。
が、看護婦がいなくなると、また同じように「診察はまだか」と怒鳴りながら、待合室の中を歩き回っていた。

さて、嫁さんのほうだが、レントゲンを撮った後、待合室に戻り、診察を待っていた。
しかし、ぼくは面白くなかった。
赤ん坊の泣き声と、じいさんの怒号、異様に辛気くさい待合室。
元々病院嫌いなので、こういうことに耐えきれなかった。
そこで、遊ぶことにした。

ぼくは立ち上がって、おもむろに嫁さんの車いすのハンドルをとり、ゆっくりと壁際まで運んで行った。
嫁さんが「どこ行くと?」と聞いたので、ぼくは「今にわかる」と答えた。
そして、嫁さんを壁向きに置き、ぼくは元の席に戻った。
「何、これ。戻して」
「だめ」
「ねえ」
「うるさい。人様に顔をさらすんじゃねえ。しばらくそうしてろ」
「嫌っちゃ、戻して」
「病院内では静かにしろ」
そう言ってぼくは、入口にあった自動販売機まで、ジュースを買いに行った。

待合室に戻ってくると、嫁さんの後ろに看護婦が立って、「どうしたんですか?」などと聞いていた。
嫁さんは「主人がここに持ってきたんです」と言った。
看護婦はぼくの方を向き、「どうかしたんですか?」と聞いた。
そこでぼくは、「普段の行いが悪いから、反省させているんですよ」と答えた。
「かわいそうに。戻してやって下さいよ」
「いや、孤独が好きだから、そのままにしといてやって下さい」
すると、看護婦が、嫁さんの耳元で何か囁いた。
嫁さんは小声で、「いや、いつもこうなんですよ。意地が悪いから」と言っていた。



急患センター(前)

嫁さんは姿勢が悪いせいか、時々変な歩き方になっている。
その影響からかどうかは知らないが、今朝、新聞を取りに行く時に足をくじいたらしい。
今日はお互い休みだったため、前々から計画していた、生鮮食品の即売に行き、近くのお寺に藤棚を見に行ったのだが、その時は別に変わったところはなかった。

ところが、夕方のこと。
突然「足が痛い」と言い出した。
ぼくが「どうしたんか?」と聞くと、「朝くじいたところが痛くなった」と言った。
「昼間はどうもなかったやん」
「うん、だんだん痛くなって」
とりあえず、湿布を貼って様子を見ることにした。

ぼくが風呂から上がった頃、いよいよひどくなったようで、立つことも出来なくなっていた。
「何なら、医者に行くか?」
「別に医者に行くほどのことは‥‥。いや、やっぱり連れて行って」
時間は8時を過ぎたところだった。
「この時間、開いとる病院あるかのう?」
「産業医大は開いとうよ」
「そうか」
ということで、家からさほど離れてない場所にある産業医大に向かった。

産業医大に着き、受付に行った。
事情を説明すると、受付の人は「通院されている方ですか?」と聞いた。
「いいえ、初めてですけど」
「すいませんが、ここは通院されている方だけしか診てないもので」
「じゃあ、どこに行ったらいいんですか?」
「急患センターの本部の電話番号を教えますから、そこで聞いて下さい」
受付の人から、電話番号を書いた紙を受け取り、病院を出てからそこに電話をかけた。

「どちらにお住まいですか?」
「八幡西区ですけど」
「ああ、八幡なら、市民病院で受け付けてますので、そちらに行って下さい」
市民病院は、八幡駅の近くにある。
産業医大からだと、車で20分はかかる。
ぼくは『足をくじいたくらいなんやけ、ここで診てくれればいいのに』と思いながら、市民病院に向かった。

市民病院に着き、受付に行くと、先方から「どうされましたか?」と聞いてきた。
さすがに急患慣れした対応だった。
嫁さんが事情を説明すると、受付の人は「では、こちらの書類に必要事項を書いて下さい」と言った。
嫁さんが書類を書いている時、受付が「あ、ご主人、奥様は立っているのが辛そうなので、入口にある車いすを持ってきて下さい」と言った。
「えっ、車いすですか?」
「ええ」
『足をくじいたぐらいで大げさな』と思いながらも、ぼくは車いすを持ってき、嫁さんをそこに座らせた。



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