小学生の頃まで、ジャガイモが大嫌いだった。
月に一度、給食でポテト状のジャガイモが出ていた。
塩と若干の青海苔を混ぜた程度のものだったのだが、それがジャガイモと合わなかったのか、変な味付けになっていた。
一度それを口にしたぼくは、あまりのまずさに二度とそれを食べようとは思わなかった。
そんなことがあり、ジャガイモ自体が嫌いになった。
それまでカレーは中に入っている野菜も残さずに全部平らげていたのに、それ以来ジャガイモだけは残すようになった。
ジャガイモ嫌いはその後ずっと続いた。
ところが、ある時からその嗜好が変わる。
それは、東京に出てからのことだった。
友人たちと居酒屋に行った時、誰かがジャガバターを注文した。
最初は『ゲッ、ジャガイモか』と思って無視していたが、友人があまりにおいしそうな顔をして食べているのを見て、「それおいしいんか?」と聞いてみた。
すると友人は「最高だぜ。ちょっと食べてみなよ」と言う。
「ジャガイモ好きじゃないけ」と、いったんは断った。
すると友人は「こんなにおいしいのに。騙されたと思って食べてみろよ」と言う。
そこでぼくは、そのジャガバターに箸を付け、恐る恐る口に運んだ。
一口目、あの給食を思い出して、鼻で息をすることをしなかった。
が、食べた後にバターのいい香りが鼻を包む。
二口目、今度は鼻で息をした。
サツマイモを食べているようだったが、甘みがないぶんバターの味が引き立ち、それがジャガイモの味と調和している。
思わず「おいしい」と口走った。
友人は「ほら、おいしいだろ」と言った。
「ジャガバターち、こんなにおいしかったんか」
「ジャガバターだけじゃない。ここは肉じゃがもおいしいよ」
「へえ、じゃあおれ、肉じゃが頼もう」
と、ぼくは肉じゃがを注文した。
これがまた絶品だった。
思うに、ぼくは元々ジャガイモが嫌いではなかったのだ。
たまたま味付けの悪い給食に出会っただけで、それが嫌いだったというだけの話だったわけだ。
その証拠に、それ以来ぼくはジャガイモの虜になったのだ。
飲みに行くと必ずジャガバターや肉じゃがを注文するし、マクドナルドやモスバーガーに行くと必ずフライドポテトを注文する。
毎日の弁当の中にも、必ずポテトを入れている。
今となっては、ジャガイモのない生活は考えられない。
月に一度、給食でポテト状のジャガイモが出ていた。
塩と若干の青海苔を混ぜた程度のものだったのだが、それがジャガイモと合わなかったのか、変な味付けになっていた。
一度それを口にしたぼくは、あまりのまずさに二度とそれを食べようとは思わなかった。
そんなことがあり、ジャガイモ自体が嫌いになった。
それまでカレーは中に入っている野菜も残さずに全部平らげていたのに、それ以来ジャガイモだけは残すようになった。
ジャガイモ嫌いはその後ずっと続いた。
ところが、ある時からその嗜好が変わる。
それは、東京に出てからのことだった。
友人たちと居酒屋に行った時、誰かがジャガバターを注文した。
最初は『ゲッ、ジャガイモか』と思って無視していたが、友人があまりにおいしそうな顔をして食べているのを見て、「それおいしいんか?」と聞いてみた。
すると友人は「最高だぜ。ちょっと食べてみなよ」と言う。
「ジャガイモ好きじゃないけ」と、いったんは断った。
すると友人は「こんなにおいしいのに。騙されたと思って食べてみろよ」と言う。
そこでぼくは、そのジャガバターに箸を付け、恐る恐る口に運んだ。
一口目、あの給食を思い出して、鼻で息をすることをしなかった。
が、食べた後にバターのいい香りが鼻を包む。
二口目、今度は鼻で息をした。
サツマイモを食べているようだったが、甘みがないぶんバターの味が引き立ち、それがジャガイモの味と調和している。
思わず「おいしい」と口走った。
友人は「ほら、おいしいだろ」と言った。
「ジャガバターち、こんなにおいしかったんか」
「ジャガバターだけじゃない。ここは肉じゃがもおいしいよ」
「へえ、じゃあおれ、肉じゃが頼もう」
と、ぼくは肉じゃがを注文した。
これがまた絶品だった。
思うに、ぼくは元々ジャガイモが嫌いではなかったのだ。
たまたま味付けの悪い給食に出会っただけで、それが嫌いだったというだけの話だったわけだ。
その証拠に、それ以来ぼくはジャガイモの虜になったのだ。
飲みに行くと必ずジャガバターや肉じゃがを注文するし、マクドナルドやモスバーガーに行くと必ずフライドポテトを注文する。
毎日の弁当の中にも、必ずポテトを入れている。
今となっては、ジャガイモのない生活は考えられない。