頑張る40代!

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

2002年02月

今日の出来事

午前中、一本の電話が入った。
「もしもし、Iですけど」
知り合いのI刑事からだった。
「署の洗濯機が壊れたっちゃねえ。引き取りしたやつでいいんやけど、使えるやつないかねえ?」
「さあ?確かめてないけ、使えるかどうかはわかりませんけど」
「まあいいや。うちの者行かせるけ、よろしくね」

今日は商品が大量に入荷する日で、朝から大忙しだった。
気がつけば、商品の検品や荷出しをしているうちに午後になっていた。
仕事が一段落し、ちょっと一息入れていると、「しんたさーん、お客さまでーす」と呼び出しがかかった。
行ってみると、体格のがっしりした坊主頭の男性がいた。
「しんたさんですか?」
「はあ」
「Iさんの紹介で来ました」
「ああ、聞いてます」
そしてぼくは、坊主刑事と一緒に大型ゴミを捨ててある場所に行った。
そこにはもう一人の刑事さんがいた。
顔は若いが、眼つきの厳しい人であった。
ぼくの顔を見るなり、眼つき刑事は「あ、お世話になりまーす」と挨拶をした。
「こちらこそお世話になりまーす」と、ぼくは返した。
そして、使えそうな洗濯機を探した。
大型のゴミ捨て場は、外部からの投棄を防ぐために、金網で囲ってある。
畳にして四畳半のスペース。
その狭い金網の中を、大柄の男が三人でゴソゴソやっている図というのは、異様なものがあっただろう。

この異様な風景を、遠くから眺めている人がいた。
よく見ると、うちの部門の取引先の人であった。
ぼくが気がつくと、その人はこちらに近づいてきた。
「こんにちは。しんたさん何やってるんですか?」
「実は・・・。あ、ここでは何やけ、ちょっとこっちに来て」と、他の場所に移動した。
「どうしたんですか?」
ぼくは声を潜めて「あの人たち刑事なんですよ」と言った。
「え!!何かあったんですか?」
「ちょっと前に殺人事件があったでしょ」
「え?そんなことありましたかねえ」
「あったやないですか」
「あ、ああ」
「それでその殺人現場になったのが、うちが洗濯機を配達した所だったんですよ」
「え、そうなんですか!!」
「その犯人がまだ捕まってないんですよ。それで、何か手がかりはないかと、事件の前にうちで引き取った洗濯機を調べてるんです」

ぼくたちがヒソヒソ話をしていると、坊主刑事が「しんたさーん、これ持って行きます」と言った。
「ああ、それですか。どうぞ持って行って下さい。お役に立ててよかったです。ご苦労様です」
ぼくは隣にいた取引先氏に「どうやらあれやったみたいですね」と言った。
「そうみたいですね」
「そういえば、あの洗濯機には髪の毛がついとったなあ・・・」
「・・・」
取引先氏は無口になってしまった。
かなり信じ込んでいる様子で、顔が引きつっているようにも見えた。
それを見て、ぼくは何か申し訳ないような気分になり、「冗談ですよ。冗談」と言い、いきさつを説明した。
取引先氏はやっと笑顔を取り戻したようだった。
きっと真面目な人なんだろう。
悪いことしたなあ。



そろそろ卒業の時期ですね

「雪は残り花は遅れていた
 しかし彼らは知り尽くしていた
 ひとつの旅が終わったことを

 みんなどこでもいいから吹き飛びたいと言った
 というのも彼らの行くところはなかったから
 ひとつの旅が終わった時に

  薄暗い空から、雨も降り始めていた
  でもちょっと見回すと 晴れ間も見えていた

 誰かが死んでもいいと言った
 でももう死ぬところもないだろう
 ひとつの旅が終わっているから

 何かひとつ元気が欠けた
 大人たちは喜んだ
 ひとつの旅が終わっていた

  薄暗い空から、雨も降り始めていた
  でもちょっと見回すと 晴れ間も見えていた

 雪は残り花は遅れていた
 しかし彼らは知り尽くしていた
 ひとつの旅が終わったことを」


この詩を書いてから、もう26年が経つ。
詳しく言えば、この詩は昭和51年3月1日に書いたものである。
そう、この年この日にぼくは高校を卒業した。
ぼくは卒業式の最中、体育館の窓からずっと空を見ていた。
その日は小雨のぱらつく曇天の日だった。
たまに雲の隙間から日が差し込むのだが、何か気の落ち着かない時間だった。
うっすらと希望は見えているのだが、不安のほうが重くのしかかっていた。
そういう気持ちを表すのにもってこいの天候だった。
この日からぼくは、学生でもなく、社会人でもない生活を5年間強いられることになる。

誰しも過去を振り返る時、真っ先に思い起こす時代というものがある。
ぼくの場合、その理由は定かではないが、なぜかこの日から始まる2年間が思い起こされる。
年齢でいえば、19歳前後である。
その19歳前後の思い出というのは、「あの日、ハエを何匹殺した」とか「あの日、石炭と間違えて猫のうんこを掴んだ」などという出来事だけでなく、その時その時の考え、いや気分まではっきりと覚えている。
もしかしたら、ぼくの心はいまだにその時代に住み着いているのかもしれない。
今の自分は、19歳の心が経験という服を着ているだけではないのだろうか。
落ち着きのなさも、物事に対する雑さも、ほとんど19歳の頃と変わってないような気がする。
よく「しんたさんは頭が白いわりには若いね」とか「とても44歳には見えない」などと言われるが、それはぼくがまだ19歳であるからだ。
こう考えれば、その後ぼくがやらかしたこと、すべてが納得できる。
会社のお偉いさんが朝礼でお言葉をたれている最中に、「異議あり!」と反論して左遷の憂き目にあったことも、11年勤めた会社を考えもなしに突然辞めたことも、金遣いが荒いのも、いまだいたずら好きであるのも、19歳と思えばすべて納得がいくものである。
いまだにうっすらと希望は見えているのだが、不安のほうが重くのしかかっているというのも、ぼくがまだ19歳であるからだ。

どうして19歳なんだろう。
よりによって、今まで生きてきた中で一番辛かった時期を思い起こさなくてもよさそうなものなのに。
例えば、一番楽しかった17歳の頃とか思い浮かべてもよさそうなものである。
しかし、自分史の歴史区分をすると、ぼくにとって高校時代というのは「明治維新以前」つまり「プレ近代」なのである。
何か浮世離れしているのは否めない。
今に直接つながる時代というのは、どう考えても「維新以降」、つまり19歳以降ということになる。
じゃあ、「維新」というのはあったのだろうか?
ぼくは高校の卒業式を「維新」と捉えている。
「卒業式の最中、体育館の窓からずっと空を見ていた」ことこそが、ぼくにとっての革命だと思っている。



菅原道真公 御神忌 一千百年大祭

2月25日、旧暦の日にちなのか、新暦で換算した日にちなのかは知らないが、この日は菅原道真公が亡くなった日ということである。
太宰府天満宮では、この日を菅公が「亡くなった日」と言わずに、「天神さまになった日」としている。
菅公は903年に亡くなっているから、今年でちょうど1100年経つ。
ということで、天満宮では「菅原道真公 御神忌 一千百年大祭」というのを催している。
こちらのテレビやラジオでは、去年から頻繁にこの祭のCMが流れている。

菅公といえば「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花 主なしとて春な忘れそ」という歌が有名である。
しかし、それ以上に有名なのが「白紙に戻そう遣唐使」である。
いかに歴史嫌いの人でも、一度は目にしたことがある言葉だろう。
これは別に菅公が言った言葉ではない。
1000年以上後のアホな学生が、年表を覚えるために作った語呂合わせである。
もちろん、遣唐使の廃止は菅公が建議したことなので、大いに関係のあることではある。
その頃は要職にあり羽振りのよかった菅公も、それから7年後、藤原氏の陰謀で大宰府への左遷を憂き目に会ってしまう。
その大宰府では、ほとんどあばら家状態の官舎をあてがわれたということである。
その後ヒッキーになった菅公は、それから2年後の昨日、「都に戻りたい」という無念を残して死んでいく。
菅公の遺体を乗せた牛車が止まって動かなくなった所が、現在の太宰府天満宮の建っている場所だという。

福岡県人のぼくとしては実に面白くない話である。
だいたい「大宰府行き=左遷」という図式は何か!
右大臣より下の位になったから左遷なのであって、大宰府に行くことが左遷だということにはならないはずだ。
こんな歴史を残すから、後世九州は最果ての地というイメージで捉えられるようになるんだ。
以前ぼくは、「横須賀のほうでは、九州に行ったら熊が出ると言ってるよ」と横須賀のおばさんが話していたのを聞いたことがある。
九州のどこに熊が出るのかは知らないが、ぼくの住んでいる北九州は、イタチは出るけど熊は出ない。
隣の宗像市でもイノシシがやっとである。
熊にお目にかかろうと思えば、動物園か阿蘇の熊牧場に行くしか方法はないだろう。
さらに野生の熊を見ようと思ったら、よほどの山奥に行かないと見れないはずである。
どの地方に住んでいようと、これは同じことではないのだろうか。
当時の筑紫(福岡)というのは、大陸との貿易で栄え、いわば流行の最先端をいっていた場所である。
仕事だけで捉えると左遷かもしれないが、そこでは都にはない新しい文化があったはずだ。
菅公は都で得た知識だけを善しとしたのだろうか?
学者としての自分を捨ててまで、出世に執着したのだろうか?

「遠(とほ)の朝廷(みかど)」という言葉がある。
その当時の人は大宰府のことをそう呼んでいたらしい。
遠くにある朝廷(今で言えば福岡本店などというのと同意か)と見なしてそう呼んでいたというのだが、これには異説がある。
「遠」を「遠い場所」という意味で使っていたのではなく、「遠い時代」という意味で使っていたというのだ。
つまり「遠い時代に朝廷のあった所」という意味である。
もしそうであれば、菅公は古都に行って嘆いたことになる。
現代風に言えば、京都に転勤して嘆くようなものである。
まあ、望郷の念はわかるにしろ、菅公はそんなに大宰府が嫌いだったのかなあ。
福岡県は菅公にちなんで、というより気を遣って梅の花を県花にしているのに。
それに県内には菅公ゆかりの地というのが多くある。
北九州市戸畑区に菅原神社という神社がある。
ここは京から大宰府へ赴任する途中に、菅公が足を洗った場所だという。
まるで「好きな芸能人と握手した手を洗わない」というファン心理のようなものじゃないか。
県民はここまでして菅公を慕っていたのに、菅公の目はいつも京を見ていたわけだ。
何か寂しい気がするものである。

ああ、そうか!
その当時にはまだ「とんこつラーメン」がなかった。
それが菅公は面白くなかったんだ。
さらに、「中洲」がなかったから腐ったんだ。
もし菅公が1100年後に生きていたとしたら、きっと進んで福岡に行きたがったに違いない。
そう思うことにしよう。



後日談

昨日の件だが、2,3腑に落ちないことがある。
Tさんに通報してきたお客のことである。
たしかに段ボール箱は駐車場に置いてあったのだが、それは車を停めるのに支障をきたすような場所に置いていたわけではない。
車止めの向こう側にあったのだから。
それに、この段ボール箱は、どこにでもある箱だった。
他のお客も、そこに箱があるのは知っていたはずだ。
しかし、他の人は誰も言ってこなかった。
おそらく、「お店なんだから、別にこういう箱があってもおかしくない」と気にしなかったのだろう。
もしぼくが見つけていても、気にせずに放っておいただろう。
それなのになぜ、そのお客は気になるんだろう?

他のお客さんが気にしなかったのではなく、他のお客さんが来るまでその箱はなかった、ということも考えられる。
ということは、その箱を置いたのは・・・。
裏付けはある。
実は今日、そのお客がまた現れたらしい。
そして、「あのう、昨日の箱はどうなりましたか?」と聞いてきたという。
怪しい。
犯人は犯行現場に戻るという。
昨日駐車場でぼくがドキドキしている時、そのお客は横でボーっと突っ立っていた。
あの時「警察呼ぼう」と言えばよかった。
そして、そのお客の反応を見るべきであった。
残念なことをした。

ところでぼくは今日、朝から店長と会うのを楽しみにしていた。
店長はぼくを見つけると、案の定「昨日何があったんね」と聞いてきた。
ぼくは昨日の日記の順番通りに、わざとゆっくり説明した。
し「ほんと、大変でしたよ。
12時ごろやったかなあ。
お客さんがTさんにですねえ・・・・。
・・・・ですよ。
それで、駐車場に行ったんです」
店「で、中身は何やんったん?」
し「それでですねえ、・・・・」
店「で、中身は?」
し「やっぱり、こういう時は誰でも怖いでしょう?
そこで、箱をですねえ・・・・たんです」
店「もう、中身は何なんね?」
せっかちな店長はイライラしだした。
店長はわかりやすい人で、イライラすると顔が赤くなるのですぐにわかる。
なおもぼくは、「それでですねえ・・・・」を繰り返した。
そして、最後に中身を教えた。
店長は大きな声で「イタチー?!」と言った。
今度は憤慨して顔が赤くなった。

店長と話すのは実に楽しい。
店長が休みの時に、またこういう事件が起こらんかなあ。



うちの店の駐車場は、ゴミ捨て場ではない!

店で困った問題が起きている。
ぼくの働いている店は、2Fが駐車場になっているのだが、最近そこがゴミ捨て場になっているのだ。
昨日の朝、ぼくがいつものように2Fの駐車場の鍵を開けに行ったところ、市の指定のゴミ袋に入ったゴミが捨ててあった。
もはやカラスに荒らされた後なのか、ゴミはいたるところに散らばっていた。
清掃のおばちゃんがさっそく駆けつけ、「何もこんな所に捨てんでも、よさそうなものなのに。ちゃんと指定日に出せ」などと、ブツブツ言いながら片付けていた。
これまでも、タバコの吸殻を大量に捨てていたり、コンビニやホカ弁の袋にゴミを包んで捨てていた例はあるが、今回のような本格的なゴミは初めてのことだった。

さて、今日の話である。
午前中わりと暇だったので、テレビでオリンピックを観戦していた。
そこに隣の売場のTさん(女性)がやってきた。
「しんたさん、手が空いてたら、ちょっと来て欲しいんやけど」
何だろうと聞いてみると、「お客さんが、2Fの駐車場に不審な箱が置いてあると言ってきたんよ。行って欲しいんやけど」と言う。
ぼくはそれを聞いて、すぐさま頭の中で「不審な箱」を検索してみた。
検索結果は「爆発物」であった。
おそらく最近「不審な箱」と聞いて、「爆発物」を連想しない人はいないんじゃないだろうか?
ちょうど通報したお客さんも一緒にいたので、詳しい話を聞いてみた。
「何かゴソゴソ動いているんです」と言う。
そこでまたぼくは、頭の中で「不審な箱 ゴソゴソ動く」を検索してみた。
「動物」という結果が出た。
さらに検索していくと、「子犬、猫、ネズミ、ヘビ、イグアナ・・・」という結果が出た。
「さて何だろう?」ということで、現場に向かった。

現場に着いてみると、そこには一升ビンが6本ほど入る月桂冠の段ボール箱が置かれていた。
封は開いていたが、ビニールのひもでくくってあった。
中身が何か確認しなければならない。
そう思ったとたん、心臓が高鳴りだした。
考えてみれば、こういう役回りはいつもぼくにやってくる。
人が倒れていた時も、酔っ払いが暴れていた時も、いつも汚れ役だ。
「損な運命を背負っとる」と思いながら、ひもをずらして箱のふたに手をかけた。
心臓は相変わらず高鳴っている。
「待てよ」
ぼくはふたから手を離し、顔を箱に近づけ、犬や猫を呼ぶ時のように、舌を鳴らしてみた。
「チ、チ、チ」
「・・・」
「チ、チ、チ」
「・・・」
反応はない。
「しかたない。開けるか」
もう一度、ふたに手をかけた。
「いや、待てよ」
また手を離し、今度は箱を軽く蹴ってみた。
「・・・」
もう一度蹴った。
「・・・」
反応がない。
「しかたない。開けるか」
再度、ぼくは箱のふたに手をかけ、「損な役回りやのう。もうどうにでもなれ!」と思いながら、片方のふたを開けた。
「!?」
中には、何かビールケース、いや牛乳ケースのようなものが入っていた。
中を覗いてみたが、暗くてよくわからない。
におってみると、やはり何か生き物が入っているのだろう。
糞のような臭いがした。
ケースの前にたたずんでいたが、どうしてもその牛乳ケースのようなものに触る気がしない。
触れたとたんに「バーン」となるかもしれない。
ヘビが出てきて、手を噛み付くかもしれない。
いろんな思いが、ぼくにケースを触らせようとしない。
このままそこにいても埒が明かないから、ぼくは箱を閉じ、それを1Fの事務所前の商品搬入口まで持って行くことにした。
抱えてみるとそれほど重いものではなかったが、いつ「バーン」と鳴るかと思うと、あまりいい気持ちはしなかった。

搬入口に着くと、ちょうどそこには店長代理がいた。
「しめた」と思い、「この箱が2Fの駐車場に放置してあったんですけど」とぼくは言った。
「何それ?」
「さあ?中に牛乳のケースのようなものが入ってるんですけど。それに何か生臭い」
「そこに放っとき」
「そういうわけもいかんでしょう」
「じゃあ、開けてみようか」
ということで、二人で開けてみることにした。
ひもをカッターで切り、ふたを全開した。
しかし、やはり中が暗くてよく見えない。
代理が懐中電灯を持ってきて、箱の中を照らしてみた。
「あっ!」
愛くるしい目がこちらを見ている。
黄土色の小動物、イタチである。
ぼくはイタチが街中を駆けていくのを何度か見たことがあるが、こうやってじっくり顔を拝むのは初めてのことだった。
牛乳ケースのようなものは、罠であった。
足を挟まれて動けなくなっているようだ。
よく見ると、足が一本取れ、血が流れている。

代理とぼくは顔を見合わせて、「どうしようか」と言った。
「死んどったら、生ゴミとして出すことも出来るけど、生きとるしねえ」
「離したら、一発かまされるやろうし。警察に届けましょうか?」
「いや、イタチぐらいで警察は来んやろう」
「でも、不法投棄ということで、一応知らせとったほうがいいんやないですかねえ」
「あ、そういえば、ネズミ駆除とかする所を知っとるけ、聞いてみよう」
代理はさっそく電話をかけた。

「今日の夜、引取りに来てくれるらしいよ。黒い袋で包んどってくれと言うことやった」
そこで店にあった黒い袋で包んだ。
「このままじゃ、不審がられるけ、一筆書いときましょう」とぼくは言い、“中には、罠にかかったイタチが入っています”と白い紙に赤字で書き、その箱に貼っておいた。

夜になって、業者がイタチを引き取りに来た。
「しかるべき場所に捨ててくる」ということだった。
これで、一応この事件は解決したわけである。
が、問題はまだ残っている。
だいたいどこのどいつが、この箱を放置していったんだろう?
自分で捕まえたのなら、自分で始末しろ!
そういう処理の仕方も知らない、スーパーの駐車場に放置して何が面白いんだろうか。
生ゴミでもうんざりしているのに、もういいかげんにしてもらいたいものである。
常識をわきまえろ!!

さて閉店後、今日用があって休んでいた店長からぼくの携帯に電話があった。
店「終わった?」
し「今から閉めます」
店「今○○店におるけ、そこに売り上げ流すように代理に言うとって」
し「わかりました。そう言えばいいんですね。ところで、今日大騒動があったんです」
店「え?」
し「不審な箱が2Fの駐車場に放置してあって・・・」
店「何が入とったん?」
し「それが大変なものやったんです」
店「警察呼んだ?」
し「いえ、呼んでませんけど」
店「何やったんね?」
し「今日は言えません。明日言います」
と、ぼくは電話を切った。

店長は気になって、今頃眠れないでいるだろう。



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